人の悩みを聞くときにはどうしたらいいか、
ということについて。
「いのちの電話」というのがある。
自殺を防ごうと、ボランティアが苦悩を
訴える電話に耳を傾けるものである。
相談は人の生き方にかかわることで、
本質的には一本の電話で解決などできない。
けれども、話をひたすら聞くことで、
電話をかけた人が今の自分の問題に気づき、
何をすべきか自分で考えるようになる
手助けができるのである。
鏡のように、相手を映し出すイメージだという。
この「いのちの電話」から導き出される
「悩みを聞くときの対応や心がけ」には、
次の3つがあるという。
① マニュアルはない、と心得る
この悩みにこの対応、
というパターン化は無理だという。
相談内容に捉われてしまうと、
原因探しをしたり、説教調になったり、
価値判断をしがちだが、
経験や知識を話しても役には立たない。
② 沈黙を恐れない
相手その人に関心を持ち、
どんな気持ちかひたすら聞くことが大事。
沈黙が続くと焦って質問しがちだが、
気配、イントネーション、
言葉の強弱などで心の動きを察知する。
沈黙を恐れることはないのである。
③ 相手に寄り添う
ただ寄り添い、一緒に溜息を
つくような雰囲気というか、
「よかったら話を聞かせて。
話せるようになるまで待つから」
という姿勢が大切だという。
質問をしたり情報収集をしたりすると、
相手に代わって答えを出さなければ
ならなくなってしまう。
「わかってもらえてよかった」
と最後に相手に言われるように、
「そこに共にいて鏡になる」
というような聞き方がいいらしい。